賃貸不動産経営管理士はどうでしょう?(50代からの資格取得)
資格マニアは宝の持ち腐れ?に書きましたが、つい最近取得したのが「賃貸不動産経営管理士」で、今年の試験から国家資格化したため、このところ人気が出てきている資格です。
賃貸不動産経営管理士とは
賃貸不動産経営管理士は、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(以下、法律)において、賃貸住宅管理業務を行ううえで設置が義務付けられている「業務管理者」の要件※とされた法体系に基づく国家資格です。
賃貸住宅管理に関する知識・技能・倫理観を持った専門家としてその能力を発揮し、賃貸不動産の管理を適切に行うことを通じて、賃貸不動産所有者の資産の有効活用、不動産に居住し利用する賃借人等の安全・安心を確保するといった非常に重要な役割を担っています。
賃貸不動産経営管理士協議会HPより引用
簡単に言うと、賃貸住宅の管理には、法律により【業務管理者】の設置が新たに必要となり、【業務管理者】になれる資格要件の一つが「賃貸不動産経営管理士」ということです。
具体的な義務と背景
具体的には、200戸以上の住宅を管理する業者について、賃貸不動産経営管理士等の有資格者による【業務管理者】を新たに設置する義務ができたことになります。
「一括借り上げ・家賃保証」などを強調して業績を伸ばしていた管理会社が、空室増加等で家賃保証ができなくなり、オーナーともめるケースが増えたことなどが法律の背景にあるようです。
取得をオススメしたい方
つまり、この法律・資格は管理業者を規制するものですが、オーナーとしても知っておいたほうが良い知識が多いので、賃貸住宅のオーナー(の関係者)には特にオススメしたい資格です。
では、就職や転職に強いか?というと、賃貸住宅経営管理士以外に、講習を受けた宅建士も【業務管理者】の資格が認められているので、業務の独占という意味では少し弱いかな~と。
気になるのは試験の合格率ですが、ここ5年は以下のとおりです。
受験者数と合格率の推移
【合格点と合格者数の推移】
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格点 | 出題数 | 合格率 |
平成29 | 16,624 | 8,033 | 27 | 40 | 48.3% |
平成30 | 18,488 | 9,379 | 29 | 40 | 50.7% |
令和01 | 23,605 | 8,698 | 29 | 40 | 36.8% |
令和02 | 27,338 | 8,146 | 34 | 50 | 29.8% |
令和03 | 32,459 | 10,240 | 40 | 50 | 31.5% |
ここ最近、受験者数が年々伸びてきている一方、合格率は低下気味で、この2年は約30%です。
宅建士などの試験もそうですが、合格者数や合格率を一定範囲にするため、年によって合格点が動くので、試験直後は、今年の合格ラインは何点?という予想がアチコチで出てきます。
今年は合格点が40点になったので、結果として、試験は易しかったのでしょうが、国家資格化されたことで、基礎知識のある宅建士などの受験が増えた影響もあるのかもしれません。
今後の試験は難化する可能性アリ
今後の難易度についてはどうでしょうか?
50問の試験で最低ラインが8割の40点というのは、難易度の設定としては失敗のように思われ、来年度の試験は難化して、7割の35点前後になってくるのではないかと予想しています。
さらに、この2年は合格率が約30%ですが、同じ不動産系の宅建士や管理業務主任者試験は合格率15~20%ですので、賃貸住宅経営管理士もこの割合に近づく(=難化)可能性もあります。
そうすると今後、より競争性が高まる可能性からは、不動産系の資格保有者が次に狙いやすい資格ということもあって、この人たちに負けない実力をつける必要があります。
使用テキストと勉強期間
今年度の試験で私が使用したテキストと過去問は以下に紹介する各一冊で、勉強期間はざっくり1か月、平均すると毎日3時間、トータルで100時間という感じです。
テキストは、こちらです。
過去問は、こちらです。
今年度の試験結果ですが、自己採点によると9割の45点でした。
以前に宅建士や管理業務主任者試験に合格していますので、契約関係や設備知識など、その時の勉強が生きた部分があるものと思います。
失点した5点ですが、出題傾向の大きな変化(サブリース関係)があったためで、これには多くの受験者が苦戦したものと思いますし、それ以外はこのテキストで十分に対応できました。
不動産関係の予備知識がない場合は、3か月くらいの勉強期間を見ておいたほうが無難でしょう。
独学の工夫
私の勉強の方法ですが、一部の高度な資格を除いて全般に言えることだと思いますが、非常に単純で、自分でコレ!と決めたテキストと過去問をやりつくすだけです。
例えば、過去問題集については各問題ではなく、各選択肢を完全に理解・暗記するまで何度も回します。
それ以外の工夫といえば、勉強の初めからテキストにマーカーを引かないことくらいでしょうか。
初めからマーカーを引くと、結局マーカーだらけになってしまうので、試験当日の会場で最終チェックすることができるくらいの分のマーカーを、勉強の最終段階で引くようにしています。
勉強の流れとしては、テキストを終えてから過去問をやるのではなく、軽くテキストを1回読んだ後は、どんどん過去問をやりながら、テキストと行ったり来たりして理解を深めています。
穴だらけでも、早めにテキストや過去問全体を読み終えて、全体範囲をまず実感できることがとても大事で、それだけで、ゴールの見えないトンネル感はなくなるものと思います。
近い将来、宅建士も取る予定なら、独占業務があって、知識の応用が利く宅建士を先に取得しておいたほうが、正直なところ、色々な面でお得だと思います。
しかし、宅建士の資格が必要でない場合は、賃貸不動産経営管理士の試験範囲や難易度は、現時点で宅建士ほどではないので、こちらから取得するのもステップとしてアリだと思います。