ファイナンシャル・プランニング技能士はどうでしょう?(50代からの資格取得)

2022年6月24日

みなさんは、これまでに、ファイナンシャル・プランナーに相談されたりしたことはありますか?

ネット記事で、「○○さんの家計診断~今の収入で家を買って大丈夫?」などの相談(風)記事を見られたことある方も多いのではないかと思います。

個人的には、他人に生々しい資産状況を晒すわけで恥ずかしく、仮に相談料がタダであっても躊躇してしまいますが…。

今回は、私と同じようにシャイな方のため、「ファイナンシャル・プランニング技能士」という資格をご紹介します。

ファイナンシャル・プランナー?

いきなりですが、ファイナンシャル・プランナーを名乗るのに特に資格は必要なく、実は誰でも今日から「ファイナンシャル・プランナー」を名乗れることはご存じでしたか?

稼げるかどうかは全く別の話で、医者や弁護士などと違い、そう名乗っても違法ではないくらいのことですが…(笑)

逮捕された人

もちろん、能力の裏付けのない方に、大切な資産を晒して相談する奇特な方がいるとは思えず、ファイナンシャル・プランナーを名乗るほとんどの方は、国家資格や民間資格を取得されているものと思います。

国家資格では「ファイナンシャル・プランニング(FP)技能士(1級~3級)」、民間資格では「AFP」「CFP」があり、私は国家資格のほうのFP技能士(2級)を取得しています。

なぜ私が、FP技能士を取得したかというと、国家資格であって有効期限がなく、更新料も必要ないからです(笑)

お金がない人

またなぜ、FP技能士1級を取得していないかというと、自分には「1年以上のFP業務経験」という1級の受験資格がないものと思っていたからです。

しかし今回、改めて調べてみると、実務経験は自己申告でよく、かなり幅広くFP業務経験として認められているようで、難易度は相当高いようですが、今後、受験するかもしれません。

いずれにせよ、独立や副業という気はなく、家族のライフプランを考える上で参考にしたいというレベルであれば、資格の有効期限や更新料がないFP技能士(2級)がバランス良く、オススメです!

ロープを渡る人

資格取得後は、高い倫理観を持っていただきつつ、ご両親などの資産状況を聞くのも自由ですし(笑)

どんな勉強をするの?

FP2級と3級ともに試験科目は、ライフプランニング、リスク管理、金融資産運用、タックスプランニング、不動産、相続・事業継承の6項目で、2級では出題範囲が少し増える程度の違いです。

これだけ見るとなんだか固~い感じがしますが、私が勉強しながら、具体的にオモシロかった内容を少しご紹介します。

ライフプランニング

ここでは医療保険、介護保険や公的年金などの社会保険制度を学ぶことになりますが、それまでは「なんとなく面倒くさいな~」と思考停止していました。

ですが、「国民皆保険・国民皆年金」制度のため、すべての人が何らかの制度に入っているハズですから、知らなくて良いわけがありません!

何よりも重要なのは、社会保険制度は申請主義で成り立っており、自分で申請しなければ、年金や健康保険などの給付は受けることができないということです。

申請書

以前とは違って、対象となる人への情報提供の機会は手厚くなっているようですが、知らなければ知らないまま、損をしてしまう仕組みなのです。

これって、なかなか恐ろしくないですか??

リスク管理

ここでは生命保険や医療保険、損害保険の概要を学ぶことになります。

世の中には多くの保険商品があり、それぞれのメリットが各社からPRされていますが、保険商品を比較してみても、違いが理解しにくい場合もあるのではないでしょうか?

そのような場合、保険外交員のセールストークで最終的に判断されている場合もあるのではないかと思います。

電卓を持った販売員

しかし、ここで各社共通となる「保険の仕組み」の骨格を学ぶことで、必要性と費用のバランス、必要な時期などを知ることができ、自分自身で保険を見直すことができるようになります。

惰性で昔からなんとなく入っている保険って、意外とありますよ?

金融資産運用

ここでは、債券や株式、投資信託や金融派生商品などの概要を勉強します。

正直なところ、これは人によって好き嫌いがあるジャンルではないかと思います。

極端な例ですが、「損するかもしれないが得をしたい人」「得しなくてもよいが損だけはしたくない人」に分けた場合、私はどちらかと言うと後者なので、運用は全然向いていないのです(笑)

お金の成る木

とはいえ、企業年金では「確定給付企業年金(DB)」と「確定拠出年金(DC)」二つがあるところ、運用リスクを嫌って、確定拠出年金を選択する企業が増えています。

となるとその資産運用は、選択の余地なく従業員自らが行う必要ありますので、積極的に資産運用を行っていない人でも、多少の運用知識はあったほうが、納得できるポートフォリオを作りやすいものと思います。

タックスプランニング

もしかすると一番大切な知識は税金かもしれません。

自営業の方は確定申告必須ですが、サラリーマンの方であれば会社で納税まで行ってくれますので、副業やふるさと納税なんかの事情がなければ、源泉徴収&年末調整で手続が済んでしまいます。

税務署

政治的なことはあまり書きたくないのですが、このシステムが、サラリーマンの納税感覚を低くさせている最大の要因ではないかと思うのです。

徴収する側から見たら、取り漏れがない素晴らしい制度なのでしょうが…。

天引きはともかく、少なくとも年末調整ではなく確定申告をすることで、毎年、自分がどれくらい所得税や住民税を払っているか意識することで、投票行動なんかも変わってくるのではないかと。

選挙ポスター

計算式として正しくありませんが、支払った税金を実施された国政・地方選挙の数で割ってみると、一票あたりとんでもない金額で、私は棄権などとてもできません(笑)

チラッと調べましたら、平均年収600万円のサラリーマン設定で、税金総額シミュレーションがありました。

平均年収600万円…「大卒サラリーマン」が生涯天引きされる税金、衝撃の合計額|資産形成ゴールドオンライン (gentosha-go.com)

一つの試算結果ですが、会社員は2億8,000万円の生涯年収、うち税金は総額約3,000万円らしいです…。

中国では「上に政策あれば、下に対策あり」ということわざがあるようですが、日本でもしっかりと投票行動をしつつ、損益通算などの制度を賢く知って、適法に節税を考えることも大切だと思います。

大義名分を掲げていても、実質的には選挙前のバラマキ政策など、ホント腹立たしいです…。

不動産

ここでは不動産の税金関係のほか、不動産の評価についても学びます。

公的な不動産の評価としては、「公示価格」「基準地価格」「路線価」「固定資産税評価」があるのですが、これとは別に、実際に取引される「実勢価格」というのもあります。

不動産鑑定士

同じ公的な評価でも、なぜこんなに種類があるのかというと、所管官庁や利用目的が異なるから…というのが理由ですが、実はぞれぞれの関係性もあります。

具体的には、公示価格と基準地価格を10割とすると、路線価は8割、固定資産税評価は7割程度という関係性が維持されています。

あ、コレ昨年の賃貸不動産経営管理士の試験に出てました…。

公示価格と基準値価格は、特定の土地が選ばれていますが、路線価は道路ごとに定められており、自分で所有する不動産でなくても、興味ある不動産の価格をザックリ調べることができて便利です。

売り土地

特に不動産の購入にあたっては、土地勘のない場所であっても、これらの情報を使うことで、取引レンジを探ることができますから、ぜひ、不動産の購入前には勉強していただきたい科目です。

相続・事業承継

悲しくも、自分には縁のない試験科目ですが、自分だけでなく、配偶者やその両親まで含めると、気になる方も多少いらっしゃるのではないでしょうか?

ある調査によると、相続税の対象となる割合が8.8%となっていて、これを少ないとみるか、意外と多いとみるか…。

相続税の対象となる割合は「8.8%」。都内に限ると「13.8%」 – シニアガイド (seniorguide.jp)

特に都内では不動産が高いですから、そのあたりが影響しているのかもしれませんね。

遺産相続

これによると、都内では約7人に一人が相続税の対象となっている計算になり、コッソリ持っていた金融資産であったり、意外に不動産評価が高くて、相続を開始してから慌てた方も多いかもしれません。

金融資産であれば外から分かりようもないですが、相続対象となりうる不動産であれば、路線価に基づいてザックリと計算することができます。

タンス預金

実際に相続が発生してから慌てても「時すでに遅し」ですので、相続の可能性ある幸せな方は、まだ将来のことであっても、今から準備できることがないか確認いただいたほうが吉ですよ!

2級と3級の違い

ところで、FP技能士2級と3級の違いは、試験科目で共通するものが多いものの、3級は全体概要にとどまっている印象で、2級は計算もあってより詳細な内容になっています。

全体概要が分かることがまず大事ですが、せっかくなら、2級程度の知識があったほうが、自分自身のプランニングをするにも実用的かと思います。

女性の相談員

なお、2級を受験するためには、以下の資格が必要になります。

3級技能検定の合格者

・FP業務に関し2年以上の実務経験を有する者

・日本FP協会が認定するAFP認定研修を修了した者

・厚生労働省認定金融渉外技能審査3級の合格者

実務経験がなかったり、一定の資格を持っていない場合は、3級に合格してから2級にステップアップする必要があります。

実際私も、3級→2級と順番にステップアップしました。

合格率と勉強時間

FP技能士の試験についてですが、実施機関が2つあり、そのどちらで受けても良いことになっています。

実技試験の選択で違いがありますので、まず実技試験を選択してから、それに応じて受験する試験機関を選択することになります。

合格率については、3級が約70%、2級が約40%というところですが、いずれも競争試験ではなく、60点という合格点が定められている以上、合格率について意識する必要もありません。

勉強時間については、私の経験からとなりますが、3級であれば1か月、2級であれば2~3か月で充分に合格が狙えます。

勉強する女性

ただ、就職や転職等のためスグに資格が必要ということでなければ、年3回も受験機会がありますから、じっくりと勉強した後、力試しのつもりで受けるくらいで良いかもしれません。

というのも、起業や転職の予定があったり資格マニアでもなければ、60点でギリギリ合格することよりも、資格はなくても、正確な知識のほうが、よっぽど大事な気がするからです(笑)

私は短期間で集中しないとすぐにダレるタイプなので、3級受験の前に1か月勉強し、3級の合格発表後に2級を申し込んで、申込から受験までの2か月を2級の勉強にあてました。

ご参考まで、日本FP協会での2022年試験日程です。

 3級試験日受検申請期間合格発表日
第1回2022年5月22日(日)3/10(木)~3/31(木)6月29日(水)
第2回2022年9月11日(日)7/5(火)~7/26(火)10月24日(月)
第3回2023年1月22日(日)11/8(火)~11/29(火)3月2日(木)
 2級試験日受検申請期間合格発表日
第1回2022年5月22日(日)3/10(木)~3/31(木)6月29日(水)
第2回2022年9月11日(日)7/5(火)~7/26(火)10月24日(月)
第3回2023年1月22日(日)11/8(火)~11/29(火)3月2日(木)

オススメテキストと問題集

私が使用したのは以前の版になりますが、このテキストと問題集で充分に合格ラインへ達します。

何しろ、隣の受験者との競争ではなく、6割を取ればよい試験ですから、テキストと問題集を各3回くらい回せば充分でしょう。

おわりに

ファイナンシャル・プランニング技能士については、資格の更新手続はないのですが、その分、知識のアップデートは自分自身で行う必要があります。

毎年のように法律が改正されていますから、ご自身が勉強した時の知識が、そのまま100%正しくない可能性が高いです。

しかし、試験勉強を通して、これらの知識を一度網羅的に整理することで、後に細かい部分を忘れたり、更新できていない知識であっても、将来的に十分な手がかりにはなるものと思います。

探偵少年

これまでいろいろな資格の紹介をしてきていますが、その中で最も汎用性があり、多くの人にとって役に立ち、学び甲斐のある知識だと思います。

それぞれの専門家と言う意味では、税理士、社会保険労務士や宅建士もいますが、「お金」という広い知識をまんべんなく学べるファイナンシャル・プランニング技能士はどうでしょう?

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Posted by おとぴん