文系でも電気工事士になれます(50代からの資格取得)
50代から独学で資格取得(電気工事士・筆記試験編)からの続きです。筆記試験に合格すると、晴れて技能試験にチャレンジすることができます。
筆記試験の合格発表後に技能試験の勉強を始めても、時間的には大丈夫なのですが、一本ずつの配線を表す「複線図」だけは筆記試験の勉強で完全にマスターしておきたいところです。
合格率の推移(技能試験)
期 | 受験者 | 合格者 | 合格率 |
R1・上期 | 58,699 | 39,585 | 67% |
R1・下期 | 41,680 | 25,935 | 62% |
R2・上期 | 6,884 | 4,666 | 68% |
R2・下期 | 66,113 | 48,202 | 73% |
R3・上期 | 64,443 | 47,841 | 74% |
R3・下期 | 51,833 | 36,843 | 71% |
一見すると、合格率は7割付近で、数字としては決して難しそうな感じはありません。
ただ受験者には、前回までの技能試験不合格者も入っているわけですから、筆記からの一発合格となると、5割近くまで合格率が下がるかもしれません。
特に技能試験は、試験代だけでなく練習用の材料代が結構高いので、一発で合格するに越したことないです。
技能試験こそが正念場
実は電気工事士(第二種)試験の正念場は、技能試験であると言って差し支えないと思います。
というのも、試験であるにも関わらず、試験問題(=作品)があらかじめ公表されており、事前に完璧な準備ができる特殊な形式の試験だからです。
何が何だかわからないかもしれませんが、論より証拠で、公表問題のサイトを以下に貼り付けておきます。
電気工事士技能試験候補問題 | ECEE 一般財団法人電気技術者試験センター
要は、当日の技能試験の出題(=作品)は1問なのですが、13の候補問題(=作品)があらかじめ公表されており、この中の1問が当日出題されるという形です。
問題によって使用する材料が異なっており、ケーブルの長さや接続方法等は試験の中で指示されます。
試験場所によって試験問題が変わるため、同じ試験会場では同じ試験問題になります。隣の受験者が別の作品を作ることはありません。
また、実際に試験開始となる前に、試験問題の材料が支給され、内容物の確認を各自で行いますので、試験開始前に試験内容が分かってしまうのも、この試験の面白いところです。
欠陥が一つでもあったらアウト
「試験問題が事前に公表されるなら落ちるわけがない」と思う方もいらっしゃるでしょうが、平成29年度から、軽い欠陥も許されない、一つのミスもない作品を作ることが合格の基準となっています。
問題ごとに異なるチェックポイントがあるほか、制限時間40分以内に一つの欠陥もなく仕上げる必要があり、材料も最低限しか支給されず、当日の緊張感も独特で、普段ではありえない失敗がありえるんです。
例えばケーブル一つとってみても、寸法を間違えて長く切断すると他で足りなくなり、合格基準に達しない可能性が高まります。
私のやらかした失敗
実際に、私も当日、それまでに想像したことのない失敗をやらかして、一瞬、頭が真っ白になりました。
具体的には、ジョイントボックス(=電線を接続する箱)に電線管(=電線を通すパイプ)を接続する部分で、ボックス右側への接続が必要なところ、誤って下側へ接続し、配線作業を途中まで進めていたのです。
というのも、電線管の種類は違いますが、ボックスの下側へ接続する候補問題が他にあって、試験問題を見た瞬間に、もう思い込んでしまったんです。
しかし、制限時間の半分くらいで仕上げられるくらいの作業スピードにはなっていたので、なんとかリカバリーできたというギリギリの状況でした。
とにかく作業に慣れること
つまり、技能試験に着実に合格するためには、公表されているすべての候補問題について、制限時間の半分くらいで仕上げる作業スピードを手に入れることが、気持ちの上でも、非常に重要となります。
と偉そうに言いつつ、私は技能試験を受ける2か月前の、筆記試験合格発表後に初めて、ケーブルストリッパーなどの道具一式に触りました(苦笑)
しかし少なくとも1か月は毎日、3時間はしっかりと練習に励んだ結果、作業スピードもバッチリ仕上がりましたので、要は「慣れ」に尽きると思います。
ちなみに、私が初めて作品の一つを完成させた時は、試験時間の4倍くらいの3時間近くもかかり、技能試験の練習をスタートするのがさすがに遅すぎたか…という絶望感を感じてました(苦笑)
手先が器用なわけでもなく、初めから早かったわけではありませんので安心してください!
テキスト、工具、練習材料と便利グッズ
使用したテキストです(私は2021年版を使用)
使用した工具セットはこちら
使用した材料セットはこちら
オススメ便利グッズ①
オススメ便利グッズ②
初めての経験
技能試験のテキストを初めて開いた時、いや~な汗が流れました…。こんなん独学でできるんか??と。
しかし、テキストに付属のDVDを一回見ることで落ち着きました。自分のやることが具体的に見えて、少なくとも真似できれば良いことだけは分かりましたので…。
大丈夫です、このテキストと付属のDVDだけで、工具の使い方を含め、独学で技能試験にバッチリ対応できます。
次に工具ですが、特段のこだわりがなければ、このホーザンのセットで大丈夫です。
私は「合格マルチツール」を買ったので、セットされている「ウォーターポンププライヤー」の出番はなかったのですが、たまたまですが、ウチの自転車のカゴのつけ外しに役立ったのでヨシとします(笑)
VVFストリッパーや圧着工具は、人によっては大きさが気になる場合もあるかもしれませんが、手は小さめ、握力もお察しの50代オッチャンですが、何の問題もありませんでした。
練習用部材とオススメ便利グッズ
練習用部材は2回用がおすすめです。1回用だと、いくらケーブルをケチって作品を練習しても、2回は全作品を作ることができないと思います。
私は2回用を買って、しかもケーブルをケチリまくりましたので、全作品を少なくとも3回、作品によっては4回も練習することができたので、完全に自信がつきました。
便利グッズの合格クリップは、材料セットにも5個入っていますが全く足りませんので、初めから買っておいたほうが吉です。特にケーブルをケチって練習する予定の方は、接続の余裕分も削るので必須です(笑)
合格マルチツールは必須ではありませんが、工具持ち替えの時間短縮になるので、私はオススメです。
練習の工夫
13の候補問題には、難易度に差があります。正確には、作業の内容が違うので、作業やチェックに必要な時間が、問題によってどうしても異なってくるのです。
私は制限時間40分の半分で作業ができるようになったと書きましたが、練習時の実測によると、最も単純な問題で17分、最も手間のかかる問題では23分かかっています。
つまり、作業時間の短い試験問題が出ればアタリ、長い問題であればハズレとなるわけですが、ここで舞い上がってしまい、施工条件(ケーブル寸法や接続方法等)の確認が疎かになる可能性もあります。
また、途中で何かミスをすればそれで終了~ではなく、試験時間ギリギリまでリカバリーに努めるべきですので、練習の段階から、あえてミスをしてそのリカバリーを経験することが大事です。
このため、練習に際しては毎回、作業時間を計測するとともに、「こんな失敗はせんやろ~」という失敗も想定した練習をしておくことをオススメします。
私のように想像していなかった失敗がありえるので、リカバリーできる時間の余裕あることが前提にはなりますが、ここまでやれば、一発合格はもう目の前です!