賃貸と分譲(持ち家)の選択はリスク管理の問題なのです
不動産業界では、昔からあるテーマです。
今はどうか分かりませんが、昔は「毎月の家賃を払うよりも、ローン使って自分の資産にしたほうが得ですよ~」という安易なセールストークがよく使われていましたよね。
賃貸という選択は全然アリ
実際は、短期的な損得だけでなく、ライフスタイルの変化など、色々な切り口でメリットとデメリットが対比されるわけですが、結局は個人の価値観によるところが大きく、決着のつくハズがありません。
私自身は、マンションは管理を買え?でも書きましたが、現在、小さい戸建住宅に住んでいます。
実は私自身、ずっと賃貸の生活をしたい思っていましたが、子育てと騒音の問題が生じ、マンションより戸建を、賃貸の戸建は高いから分譲を、新築分譲は高いから中古分譲を…という流れで決めました。
結論は、「賃貸でも分譲でもお好きにどうぞ!」なんですが、今回は、老後に賃貸を断られるリスクを嫌っての分譲の選択は間違ってますよ!ということだけでもお伝えしたいと思っています。
決して単純に、分譲より賃貸がオススメということではなく、賃貸のデメリットと言われてることは、ホントにデメリットなの?ということを考えていただけたらと思います。
賃貸のデメリットは何?
まずは、一般的に賃貸のデメリットとされている内容を確認しておきます。
・内装や間取り、設備などが自分で決められない
・一生、家賃の支払いが続く
・高齢になったとき契約を更新できないことがある
SUUMOより引用
・退職後の家賃の支払いが課題
・高齢になると新規契約がしにくい傾向がある
・自由にリフォームできない
マネープラザONLINEより引用
共通して記載あるのが、高齢となった時の契約の不安です。
実際に、孤独死等の問題もあって、大家さんが高齢者の入居を好まないという事実はあります。
高齢者は住宅を借りにくい?
しかし、人口の減少と住宅供給のバランスがとれておらず、地域による偏りありますが、持ち家も含めて、空き家問題が社会問題化していることは周知の事実です。
賃貸住宅においてはより顕著で、平成30年度の国の調査では、賃貸住宅の空き家率は20%を超えています。
ちなみに、賃貸住宅の大家は8割以上が個人経営、6割が高齢オーナーとされており、戸数20戸以下の小規模住宅が6割となっています。
コチラでご紹介した賃貸不動産経営管理士は、空き家の活用が急務なために生まれた側面があり、今後、さらに空き家が増えていくことが想定されています。
つまり、こういった事情の中で、高齢者だから貸さないという、「余裕」を持った大家は、これからどんどん減っていくことが予想されるのです。
確かに孤独死の問題はありますが、それは長期間にわたって発見されないことが問題なのであって、今は見守りサービスの進化もあり、長期間放置される危険性は減ってきています。
そうなれば、例えは極端かもしれませんが、病院のベッドと同じではないかと考えられるわけです。
もちろん、保証人や親族の有無、残置物処理などの問題もありますが、高齢者というだけで入居を拒否し、空き家状態に耐えられる大家さんの数は、今後ますます減る一方だと考えています。
高齢者歓迎の住宅
とはいっても、それは将来の話で、現在は高齢者が住宅を借りにくいでしょ?と思われる方もいると思います。
ズバリ、公的賃貸住宅であれば、その心配は現在でも不要です。
ここで言う公的賃貸住宅とは、所得の上限に制限がある公営住宅と異なり、逆に所得の下限が定められている地方住宅供給公社や都市再生機構(UR)の住宅を指しています。
地方住宅供給公社というのは、都道府県や政令指定市などで設立されていて、例えば東京都住宅供給公社、大阪府住宅供給公社などがあります。
都市再生機構(UR)というのは昔の日本住宅公団で、国が出資している独立行政法人です。
運営や入居者審査で異なる面は多少ありますが、共通する部分としては、設立母体がすべて公的団体であるというところですね。
つまり、高齢者だからと言って、それだけで審査に落とされることがあり得ないのです。
保証人は必要?
しかし、毎月の家賃の支払いは必要ですから、年金を含めた一定の収入証明は必要ですが、一定額の貯蓄証明や前払いで代替できるケースもあります。
なので、これまで一般の賃貸住宅で生活されていた方であれば、審査はほとんど問題ないものと思います。
ほかにも、礼金や仲介手数料、更新料などがかからない点も共通していますので、初期費用や更新の面でもメリットがありますね。
いずれの場合も、管理している戸数が多いため、空き家は一定数ありますし、昔のような抽選制度ではなく、ほとんどが先着順受付になっています。
さらに、住宅供給公社の場合は連帯保証人を用意するか、利用料を支払って保証会社と契約する必要ありますが、URの場合は保証人自体が不要です。
賃貸不動産経営管理士のススメ
今回は、高齢になった時に、契約面で問題があるとされる賃貸のデメリットについて、必ずしもそうではないということをご紹介しました。
物件によっては、時代の流れで、資産どころか「負動産」となることもある住宅ですので、人生で一番高い買い物と言われる住宅費用については、慎重に検討する必要があります。
そのためにも、以前にご紹介した賃貸不動産経営管理士という資格は、「賃貸か分譲か」と悩まれている方にこそ、体系的に勉強するにはちょうど良い内容ではないかと思います。
多くの場合、現在は賃貸にお住まいで、次に分譲を考えてのお悩みだと思いますので、契約、税金、相続やクレームなどの面で、賃貸不動産経営管理士の勉強は、すぐに役立つ情報が多いです。
よろしければ、50代から独学で資格取得(賃貸不動産経営管理士)もご覧ください。
仮に勉強時間を1か月としても、大きな人生の決断をする前に、一度冷静になるためにも、そのくらいの時間をかけても損はしないのではないでしょうか。
宅建士や管理業務主任者の資格も、生活に役に立つ内容だとは思いますが、少し専門的かもしれません。
「賃貸のデメリットは他にもあるやん!」との突っ込みはごもっともですので、次の機会にそのあたりをご紹介できればと思います。